『アイ・イン・ザ・スカイ』あらすじと感想:決断の鍵をにぎるのは…(ネタバレあり)

映画

「僕はロボットじゃないよ」 by ハミングバード

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』あらすじと感想

アマゾンプライムビデオで『アイ・イン・ザ・スパイ 世界一安全な戦場』を観ました。

ドローンを使った軍事サスペンスです。

テロリストとの銃撃シーンなどはほとんどなく、会議室で攻撃を承認するかどうか巡って繰り広げられる政治家や司令官たちの駆け引きが中心になります。

「1人の少女の命」と「テロが起きれば失われるであろう80人の命」のどちらを救うかが、テーマなのですが、個人的には決断の際の情報操作について怖さを感じましたのでその点を中心にまとめてみました。

映画の簡単な紹介

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

  • 原題:”Eye in the Sky”
  • 製作国:イギリス
  • 公開:2015年
  • 監督:ギャビン・フッド
  • 脚本:ガイ・ヒバート
  • 上映時間:102分
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予告編動画

戦争会議室きている」

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』予告編

キャスト(Wikipedia参照)

あらすじ(アマゾンビデオより引用)

ナイロビ上空6000mを飛ぶ【空からの目】を使い、イギリス軍の諜報機関のキャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、国防相のベンソン中将(アラン・リックマン)と協力して、英米合同軍事作戦を遠く離れたロンドンから指揮している。凶悪なテロリストたちが大規模な自爆テロを実行しようとしていることをつきとめ、アメリカ・ネバダ州の米軍基地にいるドローン・パイロットのスティーブ(アーロン・ポール)に攻撃の指令を出すが、殺傷圏内に幼い少女がいることがわかる。キャサリンは、少女を犠牲にしてでもテロリスト殺害を優先しようとするが――。(C)eOne Films (EITS) Limited

感想(ネタバレ注意!)

※以下の感想にはネタバレを含みますので、まだ視聴がお済みでない方はご注意下さい。
ご視聴後にお読みになることをおすすめ致します。

想像以上にサスペンスフルな戦争映画でした。

派手な銃撃戦はなく、ドローンによる攻撃の承認を巡ってその責任の押し付け合いのような形でストーリーが展開します。

映画は、会議室、テロリスト潜伏家屋とその周辺、ドローンから映し出される映像、ドローンをコントロールするコンテナ内部など、限られたシーンのみで構成され、ハリウッド超大作のようなど派手な演出や大規模なシーンがなく、低予算映画のような(失礼…)雰囲気を漂わせています。

ただ切迫していく状況に次第に目が離せなくなってしまい、どんどん引き込まれてしまいました。

彼らは少女を犠牲にしても、2名の自爆テロ犯と危険なテロリスト3人を攻撃すべきなのでしょうか?

ドローンなどの最新軍事マシン

見ていてまず驚かされるのは、SFの世界かと見まごうばかりの最新軍事マシンの数々です。
※本作に登場するドローンMQ-9 リーパーが最新型のドローンのようです。

映画内ではドローンの大きさが正確には分からなかったのですが、下の動画を見て頂くと小型飛行機くらいの大きさがあることが分かります。

無人攻撃機 MQ-1プレデター & MQ-9リーパー – UCAV MQ-1 Predator & MQ-9 Reaper

映画内でも登場するハミングバードとよばれる小鳥型のスパイ装置や昆虫型のスパイ装置も実用化されているそうです。

The Surveillance Hummingbird: Watch it Fly and Spy | TIME

1人の命を守るのか、80人の命を守るのか?

また本作の主題となっているのは、「爆撃予定家屋のすぐそばでパンを売っている少女を救うために、爆撃を中止もしくは遅らせるべきなのか、直ちに爆撃すべきなのか」という議論です。

この議論は「トロッコ問題」として有名で、「線路上で作業をしている作業員の命を救う決断をしなければならないときに、1人の命と5人の命のどちらを選ぶか」という議論と同じです。

個人的には自爆テロから80人の命を救うために最小限の犠牲が出てしまうのはやむを得ない判断だと考えますが、議論の尽きない問題です。

「80人を救うためには何人まで犠牲にしてもよいのか? 79人までならよいのか?」

「将来の国民のために、今の国民が犠牲になってもやむをえないのではないか?」

戦争肯定にもつながりかねない発想ですね。

テロリスト側もそれを阻止しようとする政府側も、同じ論理を振りかざして戦っているようです。

※「トロッコ問題」や「臓器くじ」について詳しく知りたい方はWikipediaを参照下さい。
トロッコ問題:Wikipedia
臓器くじ:Wikipedia

憎しみの連鎖

本作ではドローンによる攻撃の結果、少女が亡くなります。

少女の父親はテロリストたちとは距離を置いて生活していたにもかかわらず、娘の死をきっかけにテロリストの仲間になったとしても不思議ではありません。

こうした憎しみの連鎖によりテロとの戦いは果てしなく続いていくのだと感じました。

合意形成の歪み…

本作で特に気になったのは、イギリス軍のキャサリン・パウエル大佐が攻撃の決行を切望するあまり、部下に少女に発生する付随的損害の割合(致死率)を65%から45%にさげる方法を探させ、爆弾の着弾位置を変えることでこの数値の操作に成功する点です。

この数値はコンピューターが導き出した数値ではなく、あくまで部下のムシュタク・サディック軍曹が予測した数値でしかないのに、この数値をもっともらしくベンソン中将に伝えて、攻撃許可へと導いていきます。

「少女の命を救うのか、それとも自爆テロを阻止するのか」の議論におされて、このパウエル大佐の行為についてはあまり議論の焦点が当たっていないようですが、個人的にはこの点が一番おそろしいと感じました。

なぜなら大佐より上位の立場にある人間がどれほど優秀であっても、どれほど議論をしようとも、上がってくる情報が爆撃を肯定するように操作されていれば、導き出される結論はコントロールされてしまうからです。

論理的で合理的な判断を下しているように見えて、その判断は情報提供者によってコントロールされている…

どれほどハイテクスパイ機器が発達して、全てがリアルタイムで監視できるようになっても、最終的な判断を下す人間は常に間違えうるのだという恐怖が感じられました。

上司による脅迫?

「なんとしても(少女の致死率が)50%以下になるように計算して」

「攻撃をしなくてはならないの。わかるわね。制約に縛られて身動きがとれない。決断をしなければ多くの命が犠牲になる」

大佐が軍曹に数値の改ざんを要求している言葉です。

脅迫のように聞こえるのは私だけでしょうか?

閣外大臣が45%という数値におされて爆撃を許可しますが、すべてはパウエル大佐の書いた筋書き通りだったわけです。

私には大佐が狂信的なテロリストと同じように思えてしまいます。

皆様のお考えはいかがでしょうか?

決して後味のすっきりした映画ではなく、様々なことを考えさせられる映画でした。

ドローン使用による現実の成果と被害

アメリカの国家情報局によると、2009年〜2015年の間に非戦闘地域だけで幹部を含む推定約2500人のテロリストを殺害する成果を上げています。組織を潰す手段として幹部の狙い撃ちは効果的ですが、その一方で推定約100人もの民間人が巻き添えで死亡しているとしています。一方、イギリスの調査によると、2004年~2015年の間にパキスタン、ソマリア、イエメンの3カ国だけで約6000人が殺害され、その中には民間人約1300人を含まれているといいます。また、国連の特別報告によるとパキスタンでは約5年間で400~600人の一般市民が巻き込まれ命を失っているとしています。

引用:「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」:ドローンによるテロリストの監視・攻撃と、市民巻き添えのリスクをスリリングに描く

受賞歴

本作は2016年英国映画賞脚本賞を受賞しています。

おすすめですか?

おすすめです。

独断と偏見で次の方におすすめ致します。

  • 戦争映画の好きな方
  • サスペンス映画の好きな方
  • ドローンを使った戦争について興味のある方
  • テロリストとの戦いがどのように行われているのか興味のある方
  • 決断を下す際の情報の質について関心のある方
  • 合意形成の際の誤謬について関心のある方
  • 「トロッコ問題」について興味のある方

2018/07/29現在、アマゾンプライムビデオで無料で視聴できました。

有料になる前に早めの視聴をおすすめ致します。

補足

イギリス国防副参謀長フランク・ベンソン中将を演じるアラン・リックマンは2016年1月14日に69歳でお亡くなりになっています。

1988年『ダイ・ハード』で冷酷無比なテロリスト集団のリーダー、ハンス・グルーバー役を、ハリー・ポッターシリーズ』でセブルス・スネイプ役を演じたことでも有名です。

Die Hard Trailer (1988)

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(2016年公開)が遺作となっています(アブソレムの声)。

謹んでご冥福をお祈り致します。

DVDとブルーレイ

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